第10教室:さすらいの青春(フランス語学習日記)

『さすらいの青春』を読みながらフランス語の学習をしましょう.ぜひご一緒に!

語学学習日記(フランス語学習) さすらいの青春(180)


さすらいの青春(180)

 
—————————【180】———————————————

  Tout  au  contraire  de  moi,   il  pliait   et  rangeait,
d'un  air distrait  et  amer,  mais  avec  soin,  ses  habits
d'écolier.   Je  le  revois  plaquant   sur  une  chaise  sa
lourde   ceinture;  pliant  sur  le  dossier   sa   blouse 
noire   extraordinairement   fripée   et  salie;  retirant
une  espèce  de  paletot  gros  bleu  qu'il  avait  sous  sa   
blouse,  et  se  penchant  en  me  tournant  le  dos,  pour
l'étaler  sur  le  pied  de  son  lit...


——————————(訳)————————————————

 モーヌのやることは私とは全く逆で、彼は学校の制服を
ぼんやりとした雰囲気で、また辛そうな感じで、丁寧にた
たんで並べていた.私はモーヌが椅子に彼の重たいベルト
を張り付けるように置いていたのを覚えている;椅子の背
で彼のひどく汚れて、しわだらけの黒い上っ張りを折りた
たんでいたのを思い出す;上っ張りの下に着ていた青く大
きなハーフコートのようなものを脱いで、私に背を向けて、
かがみこんで、ベッドの足元でそれを広げていたのを今で
も思い出すのだ....

 

..—————————⦅語句》————————————————
      
pliait:(半過去3単) <plier (他) ❶折る、折りたたむ、
   ❷曲げる、 ここでは❶折りたたむの意味、
   本文中の目的語は、やや離れていてわかりにくいが
   ses habits d'écolier(学生服)
soin:細心さ、入念さ、心配り、注意
   avec soin;注意深く、丁寧に
habit:(m) [複数で用いる] 衣服
écolier:(m) (現代の)小学生、(中世の)大学生
   ただし本文では「サント・アガット寄宿学校の生徒」
   を指していることは明らかなので habits d'écolier は
     学生服としておきました.ドーデの時代の南仏では
   こういうふうな言い方をしていたのだと思います.
rangeait:(半過去3単) <ranger (他) きちんと並べる、整理する    
distrait(e):(形) 不注意な、ぼんやりした   
amer:(形) 苦い    
revois:(1単現) <revoir (他) 覚えている、まざまざと思い出す   
plaquant:(現在分詞) <plaqer (他) かぶせる、押し付ける、
           張り付ける         
pliant:(形、現在分詞) 折りたためる、曲げやすい;たたみながら 
   <plier (他) 折る、折りたたむ     
dossier:(m) (椅子の)背       
extraordinairement:(副) 非常に、並はずれて  
fripée:(過去分詞、女性単数) <friper (他) 
       (服を)しわくちゃにする、ぼろぼろにする
    (顔を)しわだらけにする     
salie:(過去分詞、女性単数) <salir (他) よごす  
retirant:(現在分詞) <retirer (他) [de から] 取り出す、引き出す
    ぬぐ、はぎ取る; retirer ses gants  手袋をとる 
espèce:[エスペース] (f) 種類、 
une espèce de ~ :一種の~   
paletot:(m) パルトー(丈の短いコート)、ハーフコート;  
     カーディガン、前開きのチョッキ   
     ここではハーフコート
          チョッキはすでにgilet という語が当てられています.
penchant:(現在分詞) <pencher (自/他) 傾く、傾ける 
étaler:(他) (物を) 広げる、見せびらかす、さらけ出す     
pied de son lit:ベッドの足元


—————————— ≪文法≫ ————————————————

revois という動詞にたくさんの現在分詞が装着されています.
文構造はこれを感覚動詞としてモーヌを目的語le で置いてから
あと、すべて、現在分詞で綴っています.「私はモーヌが~
する姿を、…する様子を、~するしぐさを、今も思い出すのだ」
という訳をつけたのですが、構造は
主語(私)+ le (直接目的補語)+ revois + 現在分詞
です.