第10教室:さすらいの青春(フランス語学習日記)

『さすらいの青春』を読みながらフランス語の学習をしましょう.ぜひご一緒に!

語学学習日記(フランス語学習) さすらいの青春(181)


𝓛𝓮 𝓖𝓻𝓪𝓷𝓭 𝓜𝓮𝓪𝓾𝓵𝓷𝓮𝓼
  
さすらいの青春(181)

 
—————————【181】———————————————

  Mais  lorsqu'il  se  redressa  et  se  retourna  vers  moi, 
je  vis  qu'il  portait,  au  lieu  du  petit  gilet  à  boutons 
de  cuivre,   qui  était  d'uniforme   sous   le  paletot,  un
étrange  gilet  de  soie,   très  ouvert,   que  fermait  dans
le  bas  un  rang  serré  de  petits  boutons  de  nacre.
 
——————————(訳)————————————————

しかしモーヌが立ち上がり、私のほうに向きを変えたとき、
私はモーヌがハーフコートの下に着る制服、真鍮のボタン
のついた小さなチョッキではなく、奇妙な絹のチョッキを
着ていたのを見た.モーヌはそれの前を大きく開いて、真
珠のボタンでぎっしりの一段下で締めていた.

 

..—————————⦅語句》————————————————
      
se redressa:(単純過去3単) <se redresser  ❶身を起こす、
      姿勢を正す、毅然とした態度をとる
          ❷立ち直る     
au lieu de + 名詞:~の代わりに
     au lieu de + 不定詞:~する代わりに
cuivre:(m) ①銅、②銅製品、真鍮製品           
nacre:(f) 真珠層、螺鈿
        boutons de nacre / パールボタン        
étrange:(形) 奇妙な、不思議な
rang:(m) (横の)列、(編み物の)段   
un rang:(副詞として用いられていると思います)
     1段だけ
serré:❶(形) ①密な、詰まった;
      ②(服などが) 体にぴったり合った、
      ❷(過去分詞) <serrer(他)(締め具を) 締める
dans le bas:下で;  
         dans le bas un rang:1段下で
que fermait dans le bas un rang serré de petits boutons de nacre
   que は関係代名詞で、先行詞は「絹のチョッキ」
   qui ではなくque なのは、主語がモーヌで、モーヌ
   はこの絹のチョッキを(わざと)ボタンを1段下から
   締めて、胸元を開けるように前を閉めていた. 

...とここまで書いていたのですが、やはり訳と解釈が間違って
いるような気がします.
 なぜならその場合、serré de petits boutons de nacre ではなく
serré par petits boutons de nacre とするのが自然だと思うのです.  

そうなると意味が変わってきます.

「真珠のボタンがぎっしりある1段下で閉めていた」

そうすると、これはとても奇妙なチョッキになりますから、

étrange gilet de soie は「見知らぬ絹のチョッキ」ではなく、
「奇妙な絹のチョッキ」が正しい訳となります.