第10教室:さすらいの青春(フランス語学習日記)

『さすらいの青春』を読みながらフランス語の学習をしましょう.ぜひご一緒に!

語学学習日記(フランス語学習) さすらいの青春(85)

さすらいの青春(85)


—————————【85】————————————————
                
   Dutremblay  et  Mouchebœuf  se  contentaient  de 
lever  timidement  la  main .
   J'aurais  voulu  que  ce  fût  Meaulnes.  Ce petit
voyage en voiture à âne  serait devenu  un événement
plus important.   Il le désirait aussi,  mais il affectait 
de  se  taire dédaigneusement. 
 

—————————《訳》————————————————
               
 デュトランブレー *  とムーシュブフは、遠慮が
ちにそっと手を上げるだけで満足していた.
  私はその役がモーヌだったらいいなと思ってい
たのです.ろばに引かせた馬車なので、小旅行でも、
想定外の重大な出来事になるかもしれなかったから
です.モーヌもそのことを願っていたといます.でも
彼はそれがどうした、というような態度でだんまりを
決め込んでいました.


—————————《語句》————————————————
                  
se contentaient de ~  < se contenter de qch 
                   se contenter de + 不定
       ~で満足する
     ~することで満足する
timidement はにかんで、遠慮がちに、 
  répondre timidement おずおずと答える  
âne (m) ろば 
voiture à âne ろばが引く車
événement (m) 出来事、事件    
affectait (半過去)<affecter (他) 装う、(の)ふりをする
     (の)態度をとる
   affecter de + 不定詞 ~するふりをする
   affecter de'ignorer qn (人)を見忘れたふりをする  
dédaigneusement (副) 軽蔑したように、横柄に 
[デデニューズマン]
se taire  黙る、黙っている


—————————≪ひとこと≫————————————————
               
日本人名に難読漢字があるように、フランス人の名前
に読みは難読綴りがあります.Dutremblay がそのひとつ
で t を読むか読まないかで意見はわかれます.そして
先哲の判断も二分しています.デュランブレーか
デュトランブレーか、デュランレーか、bを読むと
したら、pに読むか、bのまま読むか・・果てしなく
疑問はつづきます.とりあえずここは、素直に全部の
子音を、そのまま読むことにしました.


—————【投稿前点検で気づいたこと】—————————————


Ce petit voyage en voiture à âne serait devenu  
un événement plus important.  

この ロバ引き馬車の小旅行は(思っていた)より
深刻なことになるかもしれなかった.

こう訳していたのですが、訳を訂正しました.

うっかり見落としていましたが、この文の中に
条件が隠されていました.条件節はないのですが、
en voiture à âne が条件を構成していて、主節(これし
かない単文ですが)が条件法ですので、
ろばに引かせた馬車ならば、(何だか心配で)
わずかの小旅行とはいえ、困ったことになるかも
しれない、となります
  より正しく言えば「困ったことになってしまう
だろう」と未来に於ける完了の推測ということで
「条件法過去」になっている.
  条件法には、現在と過去しかないので、たとえ未来
のことでも「完了」の概念があれば、「条件法過去」
で表現します.