第10教室:さすらいの青春(フランス語学習日記)

『さすらいの青春』を読みながらフランス語の学習をしましょう.ぜひご一緒に!

語学学習日記(フランス語学習) さすらいの青春(299)


𝓛𝓮 𝓖𝓻𝓪𝓷𝓭 𝓜𝓮𝓪𝓾𝓵𝓷𝓮𝓼
  
さすらいの青春(299)


——————————【299】——————————————

Pas  même  le  cri  d’un  courlis   dans  les  roseaux  
des  marais.   Et,  sur  cette  solitude  parfaite,  brillait
un  soleil  de  décembre,  clair  et  glacial.  


.———————————(訳)————————————————

沼地の葦の中からはダイシャクシギの鳴き声すらなかった.
そして、この全き孤独者の身に12月の太陽が輝き注いだ.
明るく澄んだ、そして凍てつくような光だった.

 

..——————————《語句》———————————————

courlis:(m) ダイシャクシギ、おそらくここでは
   水辺に棲む鳥一般を指しているようです.
   他の訳本を見てみると鴨(みすず書房、角川文庫)と
   訳したものもあったり、ダイシャクシギ(岩波文庫
   旺文社文庫パロル舎)のままの訳本もあったり、こ
   の箇所を無視して訳さなかったもの(講談社)もあっ
   たり様々でした.今の時代、たしかに大杓鷸を知らな
   い人がほとんどなので鴨と訳した先生方に一票投じた
   い気もしますが、仏検の受験準備学習をしている私た
   ちは基本に忠実に訳しましょう.ただし、鳴き声を問
   われた場合、分からないので、その場合はやはり「鴨」
   と訳したほうがいいカモね.ウィキペディイアによると
   鳴き方は「ホーヒィーン」なのだそうです.馬みたい!  
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%80%E3%82%A4%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%82%AF%E3%82%B7%E3%82%AE     
roseaux:(pl) <roseau (m) 葦
marais:(m) 沼沢地、湿地         
solitude:(f) 孤独、ここでは孤独者モーヌとも取れますし
    寂寥感あふれる景色全体を指すともとれます.
    例によって、翻訳者はどう対処したかみてみましょう.

 講談社       :場所として:「孤独な場所の上に12月の太陽が」
   みすず書房:場所として:「この完全なる寂寥の上に12月の」
 パロル舎   :場所として:「この上なくわびしい風景のなかで」
 岩波文庫   :場所として:「この完璧な寂寥の上に、12月の太陽」
   角川文庫    :場所として:「そしてこの完全な静寂の中に」
 旺文社文庫:場所として:「この完全にわびしい光景の上を」

   ということで、孤独者モーヌとしている先生はおひとり
   もいらっしゃいませんでした.ということは私の見解
   が誤りだったということかも知れません.
   でもせっかくなので、孤軍奮闘して孤独者モーヌと訳
   しておきます. 
parfait(e):(形) 完全な  
brillait:[ブリエ](半過去3単) <briller [brije](自) 光る
      輝く、 Le soleil brille. / 太陽が輝いている.
      Ses yeux brillaient de joie. 
      彼(女)の目は喜びに輝いていた. 
clair:(形) 澄んだ、明るい 
glacial:(形) 凍てついた、冷ややかな