𝓛𝓮 𝓖𝓻𝓪𝓷𝓭 𝓜𝓮𝓪𝓾𝓵𝓷𝓮𝓼
さすらいの青春(300)
———————————【300】——————————————
Il pouvait être trois heures de l'aprè s-midi lors-
qu'il aperçut enfin, au-dessus d'un bois de sapins,
la flèche d'une tourelle grise.
« Quelque vieux manoir abandonné, se dit-il,
quelque pigeonnier désert !... »
.————————————(訳)————————————————
午後の3時頃だっただろうか、そのときモーヌはついに
樅の林の上に灰色の尖塔を見つけた.
「何か古い廃墟の館なんだろう」、モーヌは呟いた.
「何か見捨てられた古塔なのか…」
..———————————《語句》———————————————
pouvait être ~:(半過去3単) ~だったかもしれない
au-dessus de ~:~の上に
sapin:(m)[植物] モミ(樅)
flèche:(f) 尖塔
tourelle:(f) 小塔、小櫓
quelque:(不定形容詞) 何らかの、何かの
manoir:(m) ① (中世の領主の)館、屋敷;
❷ (田園の)豪邸、
pigeonnier:(m) ① 鳩小屋、鳩舎;② 屋根裏部屋、
③ 高いところにある小さな住居
désert(e):[デゼール, デゼルト](形) 無人の、住む人もない;
人気(ひとけ)のない、寂しい;
—————————《ひとこと》————————————————
pigeonnierの意味が3つもあり、しかもどれでも合う.
映画で場面を確かめたかったが、この場面はカットさ
れていたようで、確認できませんでした.
例によって、プロの翻訳家たちはどう訳したのか、
見てみましょう.
①旺文社文庫:鳩小屋
②角川文庫 :高い塔
③岩波文庫 :鳩舎
④講談社 :鳩舎
⑤パロル舎 :鳩小屋
⑥みすず書房:屋根部屋
私の愚見を述べますと、モーヌは尖塔を見つけた、
と言っているのだから、ここは、人のいない尖塔
と訳すのが話の流れとしては自然のような気がし
ます.