第10教室:さすらいの青春(フランス語学習日記)

『さすらいの青春』を読みながらフランス語の学習をしましょう.ぜひご一緒に!

語学学習日記(フランス語学習) さすらいの青春(31)

さすらいの青春(31)


—————————【31】———————————————————

En effet, lorsque j'eus pénétré dans la salle
à manger, immédiatement suivi de la visiteuse, ma
mère apparut tenant à deux mains sur sa tête des fils
de laiton, des rubans et des plumes, qui n'étaient pas
encore parfaitement équilibrés... Elle me sourit, de
ses yeux bleus fatigués d'avoir travaillé à la chute du
jour, et s'écria :


—————————(訳)———————————————————        
      
誰も出迎えてやらなかったことは間違いない。実際
私が入ってゆくとき、女性は直ちに私のあとを
ついてきたのだから。そして食堂に入るや否や
母の姿が見えた。真鍮線やら、リボンやら、
羽根やらが、まだアンバランスの帽子頭に両手を
置いたままの母の姿が・・・ 母、ミリーは, 
日暮れて、作業で疲れた青い目で私に微笑みかけ、
叫ぶように言った。


—————————《語彙》———————————————————

en effet ① 確かに、そのとおり
    ② なるほど、実際
    ③ 実際~だから、なるほど~だから、だって~だもの
eus pénétré(前過去)< pénétrer (自)入る、入り込む
            (dans の中に)
apparu <apparaître (いきなり)あらわれる、 見える
laiton (m) 真鍮(しんちゅう)
fils (pl) <(m) 糸、繊維糸、線
équilibrés <équilibrer (他)釣り合わせる、均衡をとる、
           ② 埋め合わせる
chute (f) 落ちること
    à la chute du jour 日暮れ時に
s'écria(単純過去、3単) < s'écrier  叫ぶ、大声を上げる

        ≪ひとこと≫
avoir もしくは être の単純過去形 + 過去分詞で「前過去形」になります。
これは、単純過去で描かれている行為の中で、
その行為の直前の行為であるときに用いられる。
これで過去の遠近感が出せるというわけです。

「lorsque j'eus pénétré dans la salle à manger  私が食堂に入ったとき」

「ma mère apparut  母の姿が現れた」

では、「食堂に入った(前過去〉」のが先。
そのあと「母が出てきた(単純過去)」

ここで質問を受け付けます。

質問:「私が」入ったとき、ただちに「女性」がついてきたから
   suivre こそ、前過去になってしまえ!

回答:ご立腹はもっとも。しかし、immédiatement という言葉が
   すでに「私が入った」のが直前で「女性が入った」のがすぐあと
   ということが明白なので前過去にせず、「私」にくっつけて受け身
   表現にしています。
   「私は」「女性に追従されて」入ったのです。
   ここは時間差がなく同時進行なので、分詞構文です。
   きっと
   ジェロンディフ(これも同時進行でよく使われる)にすると、
   まだるっこしくなるので、歯切れのいい
   この表現を選んだのだと思います。
   
質問:あんた、そんなニュアンスまで、わかるんかい!仏検5級だろ!

回答に詰まった回答者:わからないけど、en がない分、てっとり早く言えるし・・
           この辺りの真相はアラン・フルニエのみぞ知る・・・とか。

さて前過去という、この曲者の時制。
この時制をめんどくせーと思うか、ナイーブで美しいと思うかで
今後の、フランス語の上達に開きが出るとすれば、ここはちょっと
がんばって注意しまひょか。