𝓛𝓮 𝓖𝓻𝓪𝓷𝓭 𝓜𝓮𝓪𝓾𝓵𝓷𝓮𝓼
さすらいの青春(338)
.——————————【338】————————————————
Il se rejeta dans l'alcôve et ses souliers
ferrés firent sonner un des objets de bronze
qu'il avait repoussés contre le mur. Un ins-
tant, très inquiet, il retint son souffle. Les
pas se rapprochèrent et deux ombres glissèrent
dans la chambrer.
————————————(訳)——————————————————
モーヌは再びベッドに飛び込んだ.鉄鋲がついた彼の
靴が壁際にのけておいたブロンズの置物のひとつに当た
ってカランと鳴った.一瞬静まり返った.モ-ヌは息を
飲んだ.足音が近づいてきました.そしてふたつの影が
すっと部屋の中に滑り込みました.
.———————————《語句》——————————————————
se rejeta:再び飛び込んだ(3単単純過去)<
se rejeter:(pr) 再び飛び込む
alcôve:(f) 閨房、ここではベッド.辞書の説明では
「床の間にベッドをはめ込み、小寝室とした場
所で、通常はカ-テンなどで仕切って隠す」
尚、英文科の方は、机も書架もそこに置くのに
と思われるかも知れません.きっとフランスでは
狭いベッド専用のスペースなのでしょう.尚、マ
リア像などを安置する壁龕もalcove のはずですが
時代が変わったせいか、今の辞書にはそんな説明
は載っていません.そもそも壁龕という言葉自体
が古語のようです.狭い土地の日本に壁を刳り抜
くスペースはありません.刳り抜いたらお隣さん
の家のなかだったりして...
soulier:(m) 短靴(普通の靴はすべてsoulierに当たる)
ferré(e):(形) 鉄具をつけた、
firent:(3複単純過去) < faire
sonner:(自)(鐘・ベルなどが)鳴る
(他)(鐘などを)鳴らす
objet:(m) ここでは objet d'art のことで、「美術品」
「工芸品」の意味.置物と訳しておきます.
bronze:(m) 青銅、ブロンズ、青銅製品
repousser:(他) 押し返す、はね返す
un instant:[アナンストン] 一瞬、ちょっと、少しの間
inquiet, inquiète:(形) 不安な、心配な
retint:(3単単純過去) < retenir (他) 抑える、こらえる
retenir son souffle / 息をこらえる
retenir un rire / 笑いをこらえる
retenir sa langue / 口をつつしむ
Elle n'a pu retenir ses larmes. / 彼女は涙を抑えるこ
とができなかった.n'a のあとにpas を入れても
いいと思います.Elle n'a pas pu retenir ses larmes.
souffle:(m) (吐く)息、息吹
pas:(m) 足音
se rapprochèrent:(3複単純過去) < se rapprocher
se rapprocher:[de に]近づく
glissèrent:(3複単純過去) < glisser
glisser:(自) 滑る、滑るように進む、滑り込む
(他) 滑り込ませる