第10教室:さすらいの青春(フランス語学習日記)

『さすらいの青春』を読みながらフランス語の学習をしましょう.ぜひご一緒に!

語学学習日記(フランス語学習) さすらいの青春(97)

さすらいの青春(97)


—————————【97】————————————— 
            
  L'ouvrier fit remarquer,  lentement,  pour dire
quelque chose : 
   «Avec la jument de Fromentin on aurait pu aller
les chercher à Vierzon.  Il y a une heure d'arrêt.
C'est à quinze kilomètres.  On aurait été de retour 
avant même que l'âne à Martin fût attelé.
——Ça, dit  l'autre,  c'est  une jument  qui  mar-
che !...
——Et je  crois  bien que  Fromentin la prêterait
facilement. » 


——————————(訳)——————————     

職人は静かに注意を促して、幾つか考え直すべき
理由を言った:
 「フロマンタンの雌馬だと、ヴィエルゾンまで
でも迎えに行けるさ.向こうで休憩が1時間って
とこだね、15キロもの道だもの.  マルタンさんの
ろばに繋がれた馬車よりも早く帰って来られるだろ
う.
 ——あいつは、ともう一人の職人が言った、なか
なかよく走る雌馬だよ!....
——それに、思うんだが、フロマンタンさんは雌馬
を快く貸してくれるだろうよ.」


—————————《語句》——————————

jument (f) 雌馬     
fit (単純過去3単) <faire                                             
faire remarquer ① (に)注意をうながす
               (を)指摘する
  faire remarquer une faute 誤りを指摘する
            ② 注目させる、目立たせる
  Sa beauté la fait remarquer partout.
    彼女は美貌のため、どこへ言っても目立つ.
lentement(副)ゆっくりと、静かに
avec (前) この前置詞は、条件法を述べるときの
  条件節(si + 直説法)の代わりの句を導く.
    「フロマンタンさんの雌馬だったら」
   という条件句.そのあと条件法が続きます.
     on aurait pu aller
     これは条件法過去、すなわち、
   avoir の条件法現在 + 過去分詞pu (pouvoir)
     基本は過去の仮定ですが、この場合わざと、
   「ああ、残念だったね、あの雌馬だったら
   ヴィエルゾンまででも行けたのによ~」
   (今からでも馬を変更したら、出来るよ) 
   と、一種のアドバイスをしている.
  * 馬はすでにマルタンさんの馬になっていたから、
   条件法過去が成立します. 
Vierzon (ヴィエルゾン)は ブールジュから北西へ
   約30キロ行った町.一方、フランソワたちが
   迎えに行く駅は片道15キロの道のりである.     
arrêt (m) 停止、停車     
âne (m) ろば 
attelé.[アトゥレ](過去分詞) <atteler (馬などを)(車、鋤)につなぐ
fût attelé (接続法半過去)     
être de retour (1) 戻る、帰って来る
  Mon père sera de retour dans une semaine.
    父は一週間後に戻るだろう.
même 同じもの、ここでは同じ馬車
  同じ場所でもそばにつないだマルタンさんの馬車
  より先にフロマンタンさんの馬につないだ馬車が
  戻る、という意味です. 
  même の次のque は関係代名詞  
    que l'âne à Martin fût attelé
    マルタンさんのろばが繋がれたとした同じもの(馬車)
    接続法なので、繋がれると仮定した場合という
  ニュアンスを持っています.
prêterait (条件法) <prêter (他) (物を) 貸す
     条件法になっているのは控えめの表現のため
  「簡単に貸してくれるんじゃないかなあ」