さすらいの青春(64)
———————————【64】————————————————
Mais quelqu'un est venu qui m'a enlevé à tous *
ces plaisirs d'enfant paisible. Quelqu'un a soufflé la
bougie qui éclairait pour moi le doux visage mater-
nel penché sur le repas du soir. Quelqu'un a éteint
la lampe autour de laquelle nous étions une famille
heureuse, à la nuit, lorsque mon père avait accroché
les volets de bois aux portes vitrées*².
————————————(訳)————————————————
しかし誰かがやって来て、この子供のささやかな喜びを
私からすっかり取り上げてしまった。その人は、夕食の
準備で顔を傾けたりしていた母のやさしい顔を照らしてい
たろうそくを吹き消し、私からそれを見るうれしさを取り
上げてしまった。 誰かが父が夜になってガラス戸に木の
鎧戸を掛けた時に私たち幸福な家族がが取り囲んでいた
ランプの火を消してしまったのだ。
————————————《語句》———————————————
enlevé < enlever (他)(deから)取り除く、のける、消去する、よそに移す
( à から)奪う
一般に ≪enlever A à B≫ (BからAを取り上げる)
paisible.(形)穏やかな、静かな、平和な
soufflé < souffler (他)~を吹く、吹き消す
(自)(風が)吹く、息を吐く
bougie (f) ろうそく(既出)
penché < pencher (他)傾ける、けしげる
éclairait < éclairer (他)照らす ~を明るくする
vitrées<vitré(e)(形)ガラスのはまった、porte vitrée ガラスのはまった戸
√vitrer (他)~にガラス板をはめる、ガラス張りにする
vitrer une porte 戸にガラスをはめる / vitre(f)板ガラス、窓ガラス
autour de ~ ~の周囲に
accroché
volet (m) 鎧戸、シャッター
bois 木でできた、木製の
————————————≪解説≫———————————————
* à tous ces plaisirs d'enfant 「こうした子供の楽しみのすべてを」
と訳しました。 一般原則が≪enlever A à B≫ (BからAを取り上げる)
なので、これに当てはめると
「こうした子供の楽しみのすべてから」「私を奪い取った」ことになるのですが、
ここでは à tous (すべてにおいて)は挿入語句ですので、無視してもらって
Quelqu'un m'a enlevé ces plaisirs d'enfant. ここでの me が 間接目的語で、
à moi の代わりを務めています。
*² とても長い文なので、ブツ切りで訳してもかまわないと思います。
ブツ切り料理教室
1:誰かがランプの火を消しました。
2:その周りを私たち家族が幸福に取り囲んでいたのだった。
3:それは夜になって父がガラス戸に木製の鎧戸を閉めた
時でした。
箇条書きみたいなので、ちょっと接続詞をチョンチョンと付けます。
「誰かがランプの火を消してしまった。
その周りを私たち家族が幸福に取り囲んでいたというのに。
それは父がガラス戸に木製の鎧戸を閉め夜の出来事でした。 」
QP3分クッキングでした。