第10教室:さすらいの青春(フランス語学習日記)

『さすらいの青春』を読みながらフランス語の学習をしましょう.ぜひご一緒に!

語学学習日記(フランス語学習) さすらいの青春(167)

さすらいの青春(167)

 
前回166番学習では、尻切れトンボの学習になってすみませんでした.
急用ができてバタバタしていて、うっかり語彙欄を最後
まで書いていませんでした.
その書くべきだった語句がこれ:
   une minute,  ici ! 
この最後の“ici”は「今」という意味もありますが「古語」扱いの
辞書もありますので、単に「ここでは」と訳すか、無視するのがいい
と思います.
    その他、「ici = 教室」、とストーリーの流れから自然な訳を
するのもいいと思います.
 「ちょっと静かにし給え、教室だろ!」
ici はそのまま「ここで」と訳しても、無視しても、「教室」に
置きかえて訳しても、どれでもいいので、訳は3通りできます.
「今は」と訳すのも絶対ないとは言えません.古語風に言うことも
あると思いますので、訳は4通りかもしれません.
 例によって他の訳本を見てみましょう.

◉ みすず書房:「ちょっとは静かにできないのか!」  ici =無視式
◉ 講談社:「どうしても静かにできないのか、教室だぞ!」ici = 教室式  
◉ 角川文庫:「ちっと静かにできないのか!」 ici = 無視式 
◉ 旺文社文庫:「教室じゃ、ちっと静かにしないか!」ici = 教室式     
◉ 岩波文庫:「ちょっと、静かにしろよ、ここでは!」ici = ここ式 
◉ パロル舎:「教室では静かにできないのか!」ici = 教室式

教室:3、無視:2、ここ:1、今:0
という結果になりました.  


——————————————————————————————
     
さすらいの青春(167)

 
—————————【167】———————————————

  « ——Si  tu n'es pas content,  il  fallait rester  où tu
était »,  répondit,  sans  lever  la tête,  Jasmin  Delou-
che   qui  se  sentait  appuyé   par  ses  compagnons.  
  Je  pense  qu' Augustin était  dans  cet  état  de fait-
gue  où  la colère monte  et vous surprend  sans  qu'on
puisse  la  contenir.

——————————(訳)————————————————

 「気に入らないのなら、さっきいた場所にいれば
よかったんだよ」、顔も上げずにジャスマン・ドルー
シュは答えたが、相手に寄りかかられたような気持ち
だった. 
   私はオギュスタン (モーヌ) は怒りがこみ上げても
抑えることも出来ないほど相手の不意をつくほど疲れて
いたのだと思います.


——————————⦅語句》————————————————

ne pas être content:満足でない、うれしくない、
         気に入らない 
se sentait:(半過去3単) <se sentir 自分が~だと感じる  
appuyé:(過去分詞) <appuyer (自) もたれかかる、
    支えられる、寄りかかる          
contenir:(他) 抑制する、抑える、食い止める、引き止める  
surprend:(3単現) <surprendre (他) ❶驚かせる、
    ❷不意に襲う、不意をつく ❸現場で取り押さえる
        ❹不意に訪れる