第10教室:さすらいの青春(フランス語学習日記)

『さすらいの青春』を読みながらフランス語の学習をしましょう.ぜひご一緒に!

語学学習日記(フランス語学習) さすらいの青春(87)

さすらいの青春(87)


————————【87】——————————————————————
               
Coffin, sa blouse relevée  et roulée autour de la ceinture,
embrassait la colonne de fer qui soutenait la poutre de la 
classe et commençait de grimper en signe d'allégresse.
Mais  M. Seurel refroidit tout le monde en disant :

   « Allons !  Ce sera Mouchebœuf.»   
 
  Et chacun regagna sa place en silence.
             

—————————(訳)————————————————————————                       
              
シャツのすそを引き上げ、それを腰に巻いたコファンは
教室の梁を支える鉄柱にしがみついていたが、よじ
登り始め、歓喜のゼスチャーをして見せた.
しかしスーレル先生は、こう言ってみんなを
落ち着かせた.

 「それじゃあ、ムッシュブフにしよう.」

それでみんなそれぞれ、黙って元の席に戻りました.


—————————《語句》—————————————————————
           
Coffin [コファン] 男子名   
relevé(e)(形)持ち上げられた、高くなった
 < relever (他)上げる、持ち上げる、まくり上げる                 
roulé(e)(形)  丸くなった
autour  ~の周りに   
ceinture (f) ベルト、帯   
embrassait (半過去) < embrasser (他)キスする、抱擁する      
colonne (f) 柱   
soutenait (半過去)(他) 支える   
poutre (f)[プートル](建築用語)梁、桁   
grimper {グランペ}(自) よじ登る、はい上がる 
allégresse (f) 歓喜、歓呼     
refroidit (単純過去)<refroidir (他) ~を冷たくする
   refroidir du café コーヒーを冷やす-
 (人の熱意を)冷ます、(興味を)そぐ
 Son arrivée refroidit l'atmosphère.
  彼(女)が木て、座が白けた.  
regagna <regagner (他) ①取り戻す
   regagner del'argent 失ったかねを取り戻す
   ②戻る、再びたどり着く、帰る
      Chacun regagna sa place en silence.
       各人自分の席に黙って戻りました.
              

————————≪文法≫—————————————————————
    
今回も、分詞構文くずれの、カケラみたいなのが、
出てきました.
それがこの文.
Coffin, sa blouse relevée  et roulée autour de la ceinture,
embrassait la colonne de fer qui soutenait la poutre de la 
classe et commençait de grimper en signe d'allégresse.

主語のCoffin(コッファン君)とその述語動詞embrassait
(抱きついていた)の間にそのカケラが挿入されていま
す.これがそのカケラ
 sa blouse relevée  et roulée autour de la ceinture,
直訳すると、引き揚げられて、腰の周りに巻かれた
彼のシャツ
となりますが、実は単なる、単語の羅列ではなく、
魂魄が入っています.述語、補語の関係が成り立って
います.「述補構造」とでもいうのでしょうか、

A「彼は(コッファン君は)自分のシャツ(の裾)を持ち上
 げて(たくし上げて)腰(ベルト)の周りに巻いて」

という血脈の通ったカケラです.  relevée もrouléeも
過去分詞なんだけど、隠れた主語(par Coffin)を想定
して、過去分詞relevée を能動的に訳します.

もう一度、はじめの文の骨格を見ますと、
B「コッファン君は教室の梁を支えている鉄柱に抱きつい
  ていたが、よじ登って歓喜のサインをしようとした.」
  
BにAを挿入して

「コッファン君は自分のシャツの裾たくし上げて腰の周りに
 巻いて、教室の梁を支えている鉄柱に抱きついていたが
 よじ登って歓喜のサインを送ろうとした.」

となります.
コファン君の名は棺桶を連想させないよう、コッファン君
にしたほうがいいかもしれません。


————————( さて...)—————————————————

きょうはもう少し学習します
 
——————【87のつづき】———————————————————————
           
  A quatre  heures,  dans  la grande  cour  glacée,   
ravinée par la pluie,  je me trouvai seul avec Meaul-
nes.  Tous deux,  sans rien dire,  nous regardions le 
bourg  luisant  que  séchait  la bourrasque:


————————(訳)—————————————————————————
               
4時に、雨に穿たれ、凍りついた大運動場で、私は
たまたまモーヌと一緒だった.二人きりだったが
何も話すことはなく、ただ町を眺めていた.町は雨
で光沢があったが突風がそれを乾かしていた  


————————《語句》————————————————————————
                
glacé(e) (形)凍った、凍りついた 
     terre glacée 凍りついた土地  
ravinée (過去分詞) <raviner (他)(雨水が) 地面をうがつ 
   ② 皴を作る visage raviné / 深い皴の刻まれた顔   
me trouvai (1単、単純過去)<se trouver (ある状態に)
     ある、いる、たまたまいる、見い出される
    Paris se trouve au bord de la Seine.
    パリはセーヌ川のほとりにある.    
bourrasque:(f) 突風
  Le navire essuya une bourrasque.
    船は突風にみまわれた.    
luisant(e)(形) 光る、輝く、光沢のある
bourg (m) 市場町、町 (既出単語) 
séchait (半過去)<sécher (他) 乾かす、乾燥させる 


————————≪文法≫————————————————————
     
最後の箇所で

nous regardions le 
bourg  luisant  que  séchait  la bourrasque:

この部分ですが、関係節の主語は、おわかりいただけ
るでしょうか? la bourrasque (突風)です.動詞
のあとに来ていると、つい目的語と早合点し、「突風
を乾かす・・?なんだろ?」というなぞなぞになって
しまいます.フランス語では、関係代名詞はqui が続く
関係文の中の主語の指標、queが目的語の指標ですから、
主語と客語(述語動詞)をひっくり返したりします。
指標があるから、大丈夫、というわけですね.