さすらいの青春(157)
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De ce déjeuner je ne me rappelle qu' un grand
silence et une grande gêne. Tout était glacé: la
toile cirée sans nappe, le vin froid dans les verres,
le carreau rougi sur lequel nous posions les pied...
On avait décidé, pour ne pas le pousser à la révolte,
de ne rien demander au fugitif. Et il profita de cette
trêve pour ne pas dire un mot.
——————————(訳)————————————————
ただ長い沈黙と気詰まりだけしか、この昼食から覚えている
ことはほかにない.すべてが寒々としていた: テーブルクロス
のない防水布だけが敷かれた食卓台、コップには冷たいワイン、
私たちが足を置いていた赤ばんだタイルの床...
モーヌをして反抗に駆り立てないよう、みんなはこの逃亡者モーヌ
には何も聞かないよう決め込んだのだった.それでモーヌはこの何
も言わないという休戦にのっかって黙っていた.
——————————⦅語句》————————————————
gêne:(f) 不快、苦痛、窮屈、気づまり
toile:(f) 布
cirée:(形) 防水された
toile cirée: 防水布
nappe:(f) テーブルクロス
posions (半過去1複) <poser:(他) 置く;
Elle m'a posé la main sur l'épaule.
彼女は私の肩の上に手を置いた.
carreau rougi:❶赤ばんだタイル;❷赤ばんだ窓ガラス
ここでは❶
révolte:(f) 反乱、反抗、反逆
pousser:(他) pousser à qn + 不定詞:人を~するよう仕向ける
~に駆り立てる
trêve:❶休戦、 ❷休止、中断;
fugitif(ve):逃亡者、ここではモーヌ
profita:(単純過去3単) <profiter (他) 利用する、活用する
つけ込む
——————————≪ひとこと≫————————————————
le vin froid:冷えたワイン;「ワインが冷たいじゃないか」と
文句を言っているように受け取れます.つまり
今でいうホットワインを常飲していたのだと思い
ます.物語の設定はフランソワが15歳、モーヌ
が17歳ぐらいなのでワインは飲めないはずですが、
気候も文化も違うので、許されていたのでしょう.